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公益財団法人日本食肉生産技術開発センターからのお知らせ

食肉処理施設を支える最新の食肉加工機器

第二次世界大戦により、我が国の畜産は壊滅的な被害を受けたが、有畜農業の奨励により徐々に復活し、蛋白質の供給等食生活の改善に重要な役割を果たすようになってきた。

当時のと畜・解体は主として人手により行われ、冷蔵施設が無かったことから、家畜商等により持ち込まれた肉畜は、その日のうちにと畜・解体され、枝肉の状態で食肉販売業者に引き渡す必要があったことから、各地に食肉処理施設が設置され、昭和35年には875箇所となった。

我が国の経済が回復するにつれて、食肉の需要が増加し、各地に肉畜の生産地が形成され、コールドチェーンシステムが食肉の流通に取り入れられるようになり、食肉の広域流通が可能となったことから、食肉処理施設の統廃合が行われた。

国は部分肉流通による食肉流通の効率化を図るため主産地において部分肉処理施設を備えた産地食肉センターの整備を進めた。

産地食肉センターでは、食肉先進国のと畜・解体手法を取り入れ、吊り形式による衛生的なと畜・解体方式が取り入れられたが、その他の食肉処理施設では従来どおり人手による作業が中心となっていた。

年号が昭和から平成に変わり、食肉の輸入自由化等食肉の国際化に対応するためには、肉畜の生産振興と併せて食肉流通の効率化が求められた。

食肉流通の近代化を図るためには、食肉流通の起点となる食肉処理の機械化が必要とされ、食肉処理の機械の研究開発を実施する機関として(公財)日本食肉生産技術開発センター 、食肉生産技術研究組合が設立され、官民共同による食肉処理の機械化に関する研究開発が進められた。

食肉処理施設は従業員が高齢化してきており、新規従業員の補充が必要となっているが、刃物使用による危険作業であることから、新規従業員の確保が困難となっており、機械化による省人化、省力システムの研究開発が重要な課題となっていた。

食肉生産技術研究組合では、食肉処理施設の抱える問題に対応するため牛及び豚のと畜・解体及び部分肉処理の自動化システム等の研究開発を行ってきた。

食肉処理施設の機械化の状況は規模により異なっているが、と畜・解体及び部分肉処理作業に導入されている機械化の状況について説明する。

(と畜・解体作業の機械化)

と畜・解体工程は家畜の取扱い工程、と畜工程及び解体工程からなっている。

家畜の取扱い工程は搬送車から家畜の積み下ろし、係留及び保定施設への追込み工程から成っている。

家畜の取扱い工程では、輸送中に発生したストレスと興奮状態を和らげ、落ち着き安定した精神状態を取り戻すとともに、と畜前の家畜の生体洗浄等の衛生管理を行うことが必要となっている。

家畜のストレスを低減化するためには、家畜の習性を利用したレイアウトとともにアニマルウェルフェア対応施設として飲水設備の設置が必要となっている。

と畜工程は家畜を殺処分する工程であり、家畜を保定し失神(スタニング)する工程と喉刺し(ステッキング)、放血する工程からなっている。

失神は喉刺しによる苦痛を回避するため、瞬時に無意識、無感覚にする行為でアニマルウェルフェア上最もの重要な工程とされている。

失神の方法は牛はボルトピストルにより頭を打額し失神させるが、豚は頭に電流を通し失神させる方法が多く使われている。

牛はボックスタイプの保定施設に一頭ずつ保定し失神させるが、豚はと畜する数が牛に比べて格段に多く、作業の効率化を図るため豚腹をコンベアに乗せて保定し移動させながら連続して失神ができる腹乗せコンベアや両側から挟み込んで移動させるレストレイニングコンベアが使われている。

電撃の方法は定電圧方式と定電流方式があり、大規模な食肉処理施設では定電流方式による自動電撃システムが導入されている。
  腹乗せコンベアでの豚のスタニング        (定電流方式の自動電撃)
  豚の腹乗せコンベアでの豚のスタニング       (定電圧方式手動電撃装置)

解体工程は足、頭を取り除き、表皮を剥ぎ、内臓を摘出し、と体を分割し枝肉とする工程である。

解体工程では衛生的な枝肉を生産するため、表皮を枝肉に触れないようにナイフ等を使い手順書に従って皮を剥いでいくことが必要となる。また、内臓摘出工程では胃腸を傷つけないように内臓の摘出を行うことが必要となる。

解体工程は衛生上の観点から機械は困難な工程であるが、全剥皮工程については機械化されている。

また、大規模な食肉処理施設では豚については背割工程で機械化されている。

牛の剥皮装置は懸垂されたと体を後肢から首に向って剥皮するダウンプーラー方式と首から後肢に向かって剥皮するアッププーラー方式があるが、多くはダウンプーラー方式が使用されている。

豚の剥皮装置は横型と縦型があるが、我が国では横型が多く使われている。

横型剥皮機は豚を横にして剥皮前処理された皮を挟み込み、皮を巻き込みながらと体を回転させて全剥皮を行う。

縦型剥皮装置は剥皮前処理された皮をドラムに差し込みドラムを回転させ剥皮する。

牛のダウンプーラー による剥皮
豚の横型剥皮機
豚の縦型剥皮機

背割工程は剥皮され内臓摘出が終わったと体を二分割し、枝肉にする工程であるが、牛については品質の問題もあり、人手によりハンドソーを使用し背割しているが、豚については自動背割機が開発され、大規模な食肉処理施設では導入されている。

自動背割機はと体保定背割ノコからなっており、剥皮され、内臓摘出されたと体は吊るし状態で自動背割機に搬入され、と体を背割ノコが背骨の中心になるように保定され、臀部から背骨の中心を首に向って背割を行い、と体を二分割し枝肉とする。

自動背割装置
背割用鋸