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公益財団法人日本食肉生産技術開発センターからのお知らせ

(豚部分肉処理の機械)

冷蔵庫で保管された枝肉は部分肉処理施設でカタ、モモ、ロースバラに三分割され、それぞれの部位はテーブルの上でナイフを使用し脱骨作業を行い、流通業者が求めるスペックに分割、整形され、ビニールで包装後金属探知機で異物検査を行い、計量後梱包され出荷される。

部分肉処理作業のうち、脱骨作業はナイフを使う危険な作業であり、熟練を要することから、脱骨作業員の確保が困難となってきており、脱骨作業の自動化装置の開発が望まれていた。

部分肉をロボットにより脱骨作業を行う場合、熟練した作業員と同じ脱骨作業手順により脱骨作業を行うことが必要となるが、作業員は目と指先の感覚と経験によりナイフを入れ、肉内に埋没した骨に沿って筋入を行い、骨と肉を切り離し脱骨することとなるが、これと同様な作業をロボットに行わせるためには、3次元画像やX線により、肉内に埋没した骨の位置及び形状を正確に認識できるセンシング技術の開発をするとともに暗黙知とされる熟練した作業員の脱骨作業をデータ化し、熟練した作業員と同じ手順でロボットを作動させる画像処理技術を開発し、豚もも及びうでの脱骨ロボットを実用化した。

(1)豚もも自動脱骨ロボット

豚もも自動脱骨ロボットは形状、骨位置、形状センシング工程、筋入れ工程及び骨分離工程からなっている。

豚もも肉は人手により前処理として寛骨を除去し、脱骨ロボットに投入され、モモ部位の左右判別、全身測定が行われ、X線画像撮影により肉内に埋没した骨の位置、形状を測定する。測定されたデータにより筋入れを行う位置や手順について3台の筋入れロボットに指示するための画像解析を行う。

もも肉は3台の多関節ロボットのナイフにより骨と肉を切離すための筋入れが行われ、スクレーパーにより肉と骨を分離し、脱骨作業は終了する。

豚モモ自動脱骨ロボットは1時間当たり300本のモモ肉を処理能力することができ、1,000頭規模で作業員を8人から4人に削減することが可能となる。

豚もも肉脱骨ロボットの全景
X線による肉内に埋没した骨のセンシング
X線による肉内に埋没した骨のセンシング

(豚うで自動脱骨ロボット)

豚うで自動脱骨ロボットは形状、骨位置やセンシング工程、筋入れ工程及び骨分離工程からなっている。

豚カタ肉畜生産者は人手により肩甲骨に筋入れを行い、脱骨ロボットに投入され、形状測定、X線画像撮影が行われ、肉内に埋没した骨の位置・形状を測定する。

測定されたデータにより筋入れを行う位置や手順をロボットに指示するための画像解析を行う。

3台の多関節ロボットにより筋入れを行い、スクレーパーで骨を分離する。

豚うで自動脱骨ロボット
豚うで自動脱骨ロボット

(まとめ)

と畜・解体作業及び部分肉処理作業は多くの人手を要し、危険な作業であることから、作業員が高齢化することで作業員の確保が困難となってきている。

食肉生産技術研究組合では、と畜・解体作業及び部分肉処理作業の省人化、省力化を進めるための研究開発を進めてきた。

と畜・解体工程作業の自動化に当たっては食肉の安全性を確保することが求められ、全剥皮装置、背割装置を除いて自動化システムは実用化されていない。

これは表皮を枝肉に接触させないで剥皮を行うことや内臓を損傷させないで摘出するシステムについてはと体に個体差があり、軟弱性であることから、ロボットによる自動化システムの開発は困難とされているが、作業員の熟練した技術をデータ化し、AIの活用により自動化システムの実用化は可能であると考えられる。

豚部分肉の脱骨の自動化システムについても不定形、軟弱体であり、ロボット作業には不向きであるとされていたが、センシング技術や画像処理技術やロボット技術の開発によりこの弱点を克服し、ロボットによる脱骨作業の実用化を図ってきた。

TPP協定の大筋合意の中、畜産の国際化が進む中で食肉流通の起点とされる食肉処理施設の安定的な発展を図るためには処理の機械化を図ることが益々重要となっており、他の分野とのコラボレーションにおいて研究開発を進めることが必要であると考えられる。